Sustainability

サステナビリティ

気候変動対応

地球環境の保全へ向けて

当社グループでは、持続可能な社会の実現に事業活動を通じて貢献するとともに、企業の持続的成長を目指す「サステナビリティ」を推進しており、重点課題(マテリアリティ)の一つに「環境保全」を掲げています。事業活動が環境に与える影響を認識し、当社グループのみならずバリューチェーン全体において、環境負荷低減・環境保全へ向けた取り組みを進めてまいります。
なお、環境保全に向けた活動は、「オープンハウスグループ環境方針」に基づいて行っています。

気候変動に対する考え方

当社グループは、気候変動が事業活動に大きな影響を与える重要な環境課題であり、当社グループの目指す「お客様が求める住まいの提供」におけるリスクとなると認識しています。
2020年12月には、日本政府が「2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする」目標を表明し、国内での脱炭素に向けた取り組みはますます加速しています。当社グループとしても、サステナビリティ委員会を中心に、脱炭素社会の実現に向けた課題への対応に真摯に取り組んでいきます。
そのような課題認識のもと、当社グループでは、事業拠点やお客様に提供する住宅などにおけるエネルギーの効率的な利用と再生可能エネルギーの利用推進で温室効果ガスを削減し、事業活動が与える気候変動への影響を減らすことに取り組んでおります。
「脱炭素プロジェクト」においては、多方面での創エネ・再エネ事業により、脱炭素社会の実現に向けて具体的に取り組んでいます。
今後もステークホルダーと協働して、脱炭素社会の実現をめざし、気候変動とエネルギー消費の課題に取り組みます。

環境保全への取り組み

気候関連財務情報開示タスクフォース「TCFD」への賛同

当社グループは、2021年1月より、企業などに対して気候変動関連リスクと機会に関する情報開示を推奨する気候関連財務情報開示タスクフォース「TCFD」の提言に賛同いたしました。そして、TCFDに賛同している日本企業が集う「TCFDコンソーシアム」の会員として、TCFDの提言に沿った情報開示に取り組んでいきます。

TCFD提言に沿った開示

1.ガバナンス

当社は、気候変動を経営に重要な影響を与える課題の一つと認識し、CFOを委員長、各事業部長、社員代表で構成されるサステナビリティ委員会を、気候変動課題を検討する機関と位置づけ、気候変動に係る様々な課題に対する対応について定期的に検討しています。また、取締役会はサステナビリティ委員会を監督しており、重要な方針並びに事項については、報告及び審議を実施しています。

<運営体制>

2. 戦略

当社グループは、主力事業である戸建関連事業を対象として、2030年を想定した気候変動によるリスクと機会の抽出、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が想定した二つのシナリオに基づく財務影響の分析、並びに今後の対応策について以下のとおり検討しました。

(1)シナリオ分析の前提(定義)

①1.5℃シナリオ②4℃シナリオ
移行リスク低炭素社会への移行期において、政策、規制、技術、市場及び顧客の嗜好等の変化に伴うリスク及び機会。世界中で気候変動に対する厳格な対策が徹底され、地球温暖化を抑えることに成功する。
その結果、2050年の平均気温は、18世紀の産業革命前に比べて、1.5℃上昇にとどまる。
温暖化に関する様々な注意喚起にも関わらず、各国の足並みが揃わず、厳格な対策は導入されない。
その結果、温暖化はさらに進行し、平均気温は4℃上昇、自然災害が激甚化、頻発化する。
物理的リスク気候変動に伴う自然災害の頻発、激甚化等の急性的なリスク、平均気温の上昇、異常気象等の慢性的なリスク。

(2)シナリオ分析結果

① 1.5℃シナリオ
1.5℃シナリオにおいて、移行リスクとして炭素税導入及び太陽光パネル義務化が、主な収益圧迫要因と推定されます。一方で、環境負荷の低い住宅の提供による新たな顧客の獲得が収益機会となります。物理的リスクについても、自然災害等によるリスクは軽微です。総じて、本シナリオにおける財務影響は限定的であることが把握できました。

② 4℃シナリオ
4℃シナリオにおいて、大きな移行リスクはなく、物理的リスクも、当社グループが展開する戸建関連事業は事業期間の短いフローのビジネスであることから、自然災害の激甚化等の外部環境変化に対する感応度を高めることで低減可能であり、大きな財務影響を与えるものではないことが把握できました。

<リスクと機会及び財務影響の一覧>

リスクと機会/項目影響経路財務影響
1.5℃4℃
移行リスク・機会【リスク】
炭素税の導入
炭素税導入に基づく資材等の調達価格上昇
(建設委託費の増加)
-
炭素税導入に基づく営業車両の燃料コスト上昇-
炭素税導入に基づく電気使用コスト上昇-
【リスク】
太陽光パネルの設置義務化
太陽光パネルの設置義務化(60%)への対応コスト上昇(販売価格への転嫁率0%)-
【機会】
環境負荷の低い住宅需要の高まり
環境負荷の低い住宅(ZEH Oriented)の提供による収益増加-
物理的リスク【リスク】
台風や洪水の激甚化による影響
台風や洪水の激甚化による作業停止期間の発生によるコスト増加--
台風や洪水の激甚化による建設中住宅の値引きによる収益減少
【リスク】
酷暑による健康被害の増大(熱中症等)
酷暑による建設技能者の作業効率低下によるコスト上昇
酷暑による営業社員の営業効率低下による収益減少
【財務影響の凡例】
/
:絶対値10億円以上50億円未満
該当なし
:絶対値1億円以上10億円未満
/
:絶対値10百万円以上1億円未満
-
:財務影響なし、または絶対値10百万円未満

(3)今後の対応

上記分析の結果、GHG排出量の削減及び太陽光パネル設置義務化への対応コストを引き下げることがリスクの低減に有効であり、環境負荷の低い住宅の提供が収益機会となることが確認できました。
更に、GHG排出量削減において、Scope1,2(*)に関しては、営業車両の環境負荷の低い車両への順次切り替え、省エネを継続的に行っていきます。また、2022年10月より、「オープンハウスグループ脱炭素プロジェクト」の一つとして開始した太陽光事業への投資による創エネにより、目標の達成を見込んでいます。
Scope3(*)については、当社の全排出量に占める割合が高く、対応が重要であると認識しています。そのため、2022年10月より、「オープンハウスグループ脱炭素プロジェクト」において、当社子会社である株式会社おうちリンク(以下「おうちリンク」という)を通し、当社グループにて戸建住宅を購入いただいたお客様に対して提供する電力サービスを実質再生可能エネルギーへ切り替えました。本サービスの普及を通じて、Scope3の排出削減目標の達成を目指していきます。
一方、太陽光パネル設置については、当社グループの戸建関連事業が提供する好立地で手頃な価格の戸建住宅において、平均的な家庭で必要とされる発電量を賄う容量の太陽光発電設備の設置は難しい状況です。今後の技術の進展に期待するとともに、サプライチェーンと連携し、事業とのバランスを鑑みた普及に努めてまいります。
また、環境負荷の低い住宅の提供については、所定の条件(北側斜線制限の対象となる用途地域(第一種及び第二種低層住居専用地域並びに第一種及び第二種中高層住居専用地域)等で、敷地面積が85㎡未満)に合致する立地の場合、太陽光パネルの設置を必要としない環境負荷の低い住宅「ZEH Oriented」(ZEHを指向した先進的な住宅として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた住宅)のカテゴリーが設定されており、当社グループの戸建関連事業が展開する地域の一定程度は上記の条件に該当しているところ、現段階では高効率な省エネルギー設備の設置にかかるスペース及びコスト並びに一部暖房設備の割愛等、商品化に向けて解決すべき課題が残っている状況です。
したがって、これらの課題については政府の規制、顧客の脱炭素への意識の高まり、太陽光発電設備の技術革新の動向等を踏まえつつ、経済合理性にも鑑み、ステークホルダーの皆様にとって最良の方法を選択するべく引き続き検討を進めてまいります。

3.リスク管理(体制)

当社は、サステナビリティ委員会において、環境問題に関する基本的な方針の策定及び気候変動に伴うリスク管理を行っています。サステナビリティ委員会では、社外有識者との情報交換を行う等気候変動対応の日本及び世界の動向等を通じて当社グループにとっての課題を把握するととともに、必要な施策についてグループ会社や各事業部と協議し、その進捗を定期的にモニタリングしています。このたび設定したGHG排出削減目標についても、サステナビリティ委員会において、進捗を管理するとともに、更なる目標の引き上げに向けての検討を継続いたします。当社は、サステナビリティ委員会より気候変動に関する課題並びに取り組みの進捗状況を定期的に取締役会に報告し、今後多様化・広域化・激甚化する気候変動に伴うリスク及び機会に適切に対処する体制を整備しています。

4.指標と目標

当社は、シナリオ分析結果を踏まえ、気候変動に伴うリスクの低減のため、2021年11月に初めて中長期のGHG排出削減目標を設定、2022年10月に目標にScope3を追加いたしました。今後、目標の達成に向け、「オープンハウスグループ脱炭素プロジェクト」を推進して参ります。

(*)Scope1,2,3
Scope1 対象会社の事業活動における排出(直接排出)、
Scope2 他社より供給されたエネルギーの使用に伴う排出(間接排出)
Scope3 その他の事業活動に伴う排出(資材調達、販売後の住宅使用時の排出等の間接排出)

温室効果ガス排出削減・エネルギーマネジメントの取り組み

当社グループでは、温室効果ガス排出による気候変動が、長期的な社会の持続性に大きな影響を及ぼすと考えます。また、気候変動による異常気象や自然災害が当社の事業活動やその成長過程において重大なリスクになる可能性があることを認識しています。そのため、事業活動に伴う温室効果ガス排出削減や、住宅における省エネ推進など、さまざまな側面で取り組みを進めています。

Scope別CO₂およびエネルギー排出実績

2021年度はScope1,2の合計は微増となりましたが、事業エリアの拡大に伴い、事業所面積あたりの原単位は微減でした。
Scope3について、当社事業においては、カテゴリ11(販売した住宅を30年間使用した際に想定される電力、都市ガス)からの温室効果ガスの割合が全体の排出の73%を占めていることから、住宅の提供・運営においてエネルギー消費を抑え温室効果ガスの排出を低減するような住宅づくりが重要であると考えます。今後も、営業車のエコカー利用や、建設資材の断熱性能の向上等に取り組んでいきます。
種類別エネルギー消費量実績の売上高あたりの原単位は微減でした。
今後も、事業全体での環境負荷の低減に努めてまいります。

単位:tCO₂

Scope・カテゴリ別算定対象活動2018年2019年2020年2021年2022年割合
Scope1: 事業者⾃らによる温室効果ガスの直接排出6187769839811,1180.11%
事務所、社有車における燃料使用量(CO₂)6187769839811,118
事務所、社有車における燃料使用量(CH₄)00000
事務所、社有車における燃料使用量(N₂O)00000
事務所、社有車における燃料使用量(HFC)00000
事務所、社有車における燃料使用量(PFC)
事務所、社有車における燃料使用量(SF6)
Scope2: 他社から供給されたエネルギーの使⽤に伴う間接排出事務所、建設現場における電力使用量1,4451,7701,7621,8971,7480.17%
Scope1, 2 合計2,0632,5462,7452,8782,8660.28%
Scope3: Scope1, Scope2以外の間接排出552,739667,188771,620809,4161,011,16799.72%
カテゴリ1 購入した製品・サービス紙、水道、他社への建設委託132,010154,097178,095193,974260,82025.72%
カテゴリ2 資本財固定資産取得1,1951,0041,3231,3618350.08%
カテゴリ3 Scope1, 2に含まれない 燃料及びエネルギー活動燃料使用量、電力使用量3464344924695390.05%
カテゴリ4 輸送、配送(上流)カテゴリ1に含む
カテゴリ5 事業から出る廃棄物建設現場で発生した産業廃棄物3,0683,3604,8855,4456,8380.67%
カテゴリ6 出張従業員の出張(航空機、鉄道、タクシー、宿泊)128134751101,3090.13%
カテゴリ7 雇用者の通勤従業員の通勤(電車)2262462382473250.03%
カテゴリ8 リース資産(上流)Scope1, 2に含む
カテゴリ9 輸送、配送(下流)非該当
カテゴリ10 販売した製品の加工非該当
カテゴリ11 販売した製品の使用販売した住宅を30年間使用した際に想定される電力、都市ガス406,892496,864573,378594,198723,09071.31%
カテゴリ12 販売した製品の廃棄販売した住宅を解体する際に想定される産業廃棄物8,87411,04813,13513,61117,4111.72%
カテゴリ13 リース(下流)非該当
カテゴリ14 フランチャイズ非該当
カテゴリ15 投資非該当
Scope1, 2, 3 合計554,802669,734774,366812,2941,014,033100%

【算出データ】
対象:オープンハウス、オープンハウス・ディベロップメント戸建事業
対象期間:各年4月~3月

Scope1,2の排出量と原単位

Scope3の排出量と原単位

Scope3のカテゴリ別内訳 実績(2022年)

種類別エネルギー消費量実績

単位:GJ

エネルギー種別2018年2019年2020年2021年2022年
ガソリン9,13911,43014,55814,54416,617
都市ガス10519414811280
電力28,20935,39936,59139,38838,696
合計37,45447,02351,29754,04455,393

種類別エネルギー消費量実績

GHG排出削減および省エネ推進の取り組み

オープンハウス・ディベロップメントでは、建物のすべてに断熱材を用いています。一般的なグラスウール断熱材よりも気密性が高く、防湿機密性にすぐれた「高性能グラスウール」を採用し、外気に接する場所には、すべて断熱材を敷き詰めて、上から準耐火仕様の石膏ボードとクロスを貼るため空調効率の良い家を実現することにより、オープンハウス・ディベロップメントが提供する住宅でお客さまが生活する上での環境負荷の低減を図っています。
オープンハウス・アーキテクトでは、断熱材は全てノンフロン断熱材を使用し、建物のLCCO₂※を考えた家づくりを実践しています。
発泡プラスチック系断熱材には、これまでフロンガスが発泡剤として使用されてきましたが、断熱材の製造、使用、廃棄時に放散されるフロンガスがオゾン層破壊や地球温暖化に対し大きな影響を与えるため、現在使用は規制されています。これに代わり使用されてきた代替フロンは、オゾン層破壊物質ではないものの温室効果が高いため、現在ではノンフロン製品の使用が国によって推奨されているためです。

また、当社グループでは、事業における取り組みに合わせ、森林保全活動「オープンハウスの森研修」を行っています。この研修は、当社グループが推進する「地域共創プロジェクト」の一環で、二酸化炭素吸収や生物多様性の保全等、森林の多面的機能の維持への貢献を目的としています。
オープンハウスの森の面積は約2.5haであり、この森林の林木が吸収する二酸化炭素の平均的な量は約149tと推定されます。

※LCCO₂:ライフサイクルCO₂の略で、建物の建造から解体・廃棄までに発生するCO₂総排出量のこと

建造物のグリーン認証取得推進についての考え方

ZEH普及目標および実績

株式会社オープンハウス・ディベロップメント
年度2017年2018年2019年2020年2021年2022年2025年
普及目標20%30%40%50%50%50%50%
実績0%0%0%0%1%2%

対象期間:各年4月~3月

株式会社オープンハウス・アーキテクト
年度2017年2018年2019年2020年2021年2022年2025年
普及目標5%20%40%65%5%10%50%
実績0%0%0%0%0%0.02%

対象期間:各年4月~3月

当社グループのオープンハウス・アーキテクトおよびオープンハウス・ディベロップメントは、「ZEHビルダー/プランナー」として登録されています。当社グループでは、2018年度までは残念ながらZEH住宅の該当がありませんでしたが、今後もZEHの普及に向けて取り組んでまいります。

住宅性能表示制度への対応

住宅性能表示制度は、新築住宅の耐震性や省エネルギー性などの住宅性能を事前に比較検討できることを目的に、共通のルールを設け、設計時と施工時に第三者機関が客観的に評価するものです。当社グループでは、お客様のご要望に応じて、住宅性能表示制度に対応したご提案を行っています。

気候関連問題に取り組むイニシアティブ

当社グループは、気候変動を回避する活動に取り組む以下の団体に賛同するとともに、その活動を支持しています。
また、一般社団法人 日本木造分譲住宅協会においては創業理事として、運営に積極的に携わっています。